祭りの写真など

堺の盆踊りの太鼓吊りについて

堺市の金岡や陶器地区、西高野街道沿いの地域では大太鼓を担ぐ盆踊りが見られる。
7月下旬から8月半ばまで約20町会で大太鼓担がれて盆踊りが行われている。
まだ調査しきれていないところもあるが、とりあえず、簡単にまとめたいと思う。

聞き取りしたことないしなあ。
何か情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、教えていただけると幸いです。

DSC_0210_20150124044557f6d.jpg
↑大阪新田盆踊り、太鼓を吊る下草尾の人々


私が大太鼓を担ぐ盆踊りを初めて知ったのは2013年のことである。
何で知ったのかははっきり覚えていないが、けやきの杜(http://keyakinomori.ninja-web.net/index.html)を見たのか、youtubeを見たのかで知ったと思う。
初めて見たのは2013年8月10日に行われた大阪新田盆踊りであった。その3日後、金岡金田の盆踊りの試験担ぎ、翌14日の同盆踊り1日目を見物した。
どちらの盆踊りも個性的な祭りで知的好奇心がくすぐられて、調べるようになった。

・大太鼓の様子
 盆踊りに使う大太鼓を担いで会場まで運び、太鼓をやぐらに吊る。太鼓の巡行は15時ころからが多い。午前中にトラックに載せて廻るところもある。太鼓は鏡面3尺前後のものが多く、大きいものでは3尺5寸ほど、小さくても2尺以上ある。太鼓には防護用のコモがまかれて一回り大きくなる。担い棒は堺の布団太鼓に似た形から、丸太を長方形に組んだだけのものまである。太鼓の叩き方については枠に人が乗るのと付いて歩く2通りがある。前者では一般的な大きさのバチ、後者では木製バットのような大きなバチで太鼓を叩く。太鼓にはやぐらに吊るための綱がついており、太鼓の上に乗る人はこの綱をやぐらにかけるのが本来的な役割だが、太鼓を担ぐ際の調子を取ったりする花形・象徴的役職になっている場合がある。大太鼓には基本的には装飾が付かないが金岡では太鼓台に彫刻を入れたり、ライトアップしたりする町もある。

・太鼓吊り
 会場に組んだやぐらに大太鼓を吊る。太鼓の上に一人ないし二人の人が乗って綱を投げて掛ける。上に乗るのは青年団の団長のような代表者がやるところと、その場のノリで決めるところと様々ある。綱にぶら下がって体重で太鼓を釣り上げるところもある。金岡では太鼓を吊った後に太鼓の上から青年団長が飛び降りて青年団員が受けとけるのが恒例になっている。

・掛け声など
 太鼓を担ぐときの掛け声は町ごとに異なるが、「オセラショ、ベーラショ、ベラショッショ オベラショベーラショベラショッショ」、「べーらべーらべらしょっしょ」、「えーらいやっちゃ、えーらいやっちゃ、えーらいやっちゃ」などがある。
 ほか唄を歌うこともある。「石山の秋の月」に始まる唄や、「数え歌」、あるいは「ノーエ節」などの民謡、「ミヨチャン」や「にんげんっていいな」などの歌謡曲なども唄われる。

・開催時期と町会
 7月下旬から8月半ばにかけて、日付固定のところと、休日に行われるところとがある。確認しているのは22町会。
 金岡金田の盆踊り、8月14日・15日、11町会(芝之内、堂之辻、西之辻、中之町、東御坊、西御坊、大道、馬場町、井之尻、九頭神、二軒茶屋)
 大阪新田盆踊り、8月15日直前の土曜日、3町会(大野芝、下草尾、関茶屋)
 福町三町盆踊り、7月最終土曜日、3町会(福町上、福町中、福町下)
 上之盆踊り、8月第一土曜日
 陶器北村盆踊り、7月最終土曜日
 隠盆踊り、8月第2土曜日
 高松盆踊り、8月13日
 新家盆踊り、8月第二土曜日(?)
開催日はここ何年かからの推測
金岡、大阪新田、福町三町以外は単独。
西中も何年か前には担いでいたらしい。(けやきの杜 http://keyakinomori.ninja-web.net/index.html)


・考察
 盆踊りは祖先崇拝と仏教の盂蘭盆会の影響を受ける民間行事であり神社祭礼ではないのだが、金岡、大阪新田、福町三町では神社を会場としている。単独で盆踊りをしている町会は自治会館を会場とすることが多いが、複数町会合同で盆踊りを行うのにはそれでは具合が悪いから、氏神の神社を会場として貸してもらうのだろう。そもそもなんで大太鼓を担ぐのだろうか。村中に盆踊りの到来をふれて廻るのも役割があるだろうが、こと金岡においては地車や太鼓台に代わる山車としての役割が大きいと思う。
 金岡では太鼓担ぎ自体の目的化が進行していると言える。14日の夕方には11町会パレードが行われるし、14日は各町5分、15日は各町10分の持ち時間で宮入パフォーマンスを行う。宮入パフォーマンスでは紙破り、スモーク、ビッグホーンなど地車祭りで使われるような演出もある。盆踊りももちろん行われるが、大太鼓がまるで地車やふとん太鼓の様な役割を持ち、その巡行にこそ意味があるような雰囲気がある。このように大太鼓が「だんじり化」しているのは金岡ではだんじりを所有していないことも一因だろう。陶器地区は秋には地車が曳行する分、盆踊りが派手になる必要はないのである。 しかし、金岡と同じくだんじりの無い大阪新田や新家では「だんじり化」は進行していない。この違いは何だろうか。金岡は明治の初めまでは地車がった。しかも地車大工として知られる河村新吾は金岡金田村に工房を構えていた。元々は地車があったのが、何か理由があって地車が廃絶し、盆踊りの大太鼓がその代替になったのではないか。なお、新家はもともと大阪新田盆踊りに参加していたが大きな道ができて分断されたために単独開催になった経緯があるというお話を聞いたことがある。
 金岡の大太鼓の「だんじり化」について、似たような事例がないかと探して見たら、先日、滋賀県の堅井之大宮春祭りというのを教えてもらった。4月に行われる春祭りで、太鼓山と呼ばれる曳山が出る。滋賀県にしては珍しく拡声機を使ったり走り回ったりするやんちゃな祭りだ。この太鼓山というのがどこからどう見ても湖東地方で見られる太鼓祭の大太鼓が日野型曳山の影響を受けて曳山化したものにしか見えないのだ。もしかすると、金岡の「だんじり化」と同じような状況にあったのではないかと想像したくなるが、資料が乏しいのと見に行ったことがないので何とも言えない。来年、必ず見に行きたい祭り。(滋賀県の太鼓祭については2014年ころから注目してたけど、全然知らんかった汗)(参考:https://youtu.be/zjhYvkOFmak
 上でも述べたが、盆踊りを行ってる町会のうち、陶器地区の隠、福町三町、上之と近隣の高松は地車祭りと太鼓吊の盆踊りの両方を行っている。地車の方が盛大で、盆踊りは町内行事としてあまり「だんじり化」していない。本来的な太鼓吊の盆踊りの形態を色濃く残していると想像できる。なお、太鼓吊、太鼓担ぎをしないだけで、陶器地区や近隣地域の地車所有町でも盆踊り自体は行われている。また、大太鼓は所有しているが担いでいない町(深井水池町)、過去には担いでいたが担がなくなった町(西中など)もあるようである。
 
 なんしか、滋賀のその祭りは他地域の祭りの影響を受けて祭りの形が変わった例で、金岡は変化の過渡期にあるんじゃないかと、そういうことを私は申し上げたいし、これからもこの辺を研究していきたいのである。



追記
滋賀県愛知郡愛荘町の堅井之大宮の春季大祭について
祭礼日:元はヨミヤが4月19日、ホンビが4月20日だったが近年は4月20日に一番近い土日
神社:軽野神社、通称は堅井之大宮、滋賀県愛知郡愛荘町岩倉123
氏子:十二ヶ字、うち九ヶ字(常安寺、東出、西出、斧麿、竹原、深草、円城寺、岩倉、松尾寺)から太鼓・鉦・曳山が出る。
祭概要:ヨミヤはヨミヤワタリがある。九ヶ字から太鼓と鉦がそろって神社まで行く。ホンビは九ヶ字から太鼓山という曳山が出る。
備考:西出は地元の日吉神社の春祭りもある。元は堅井之大宮の春祭りホンビの翌日だった。
参考文献:愛荘町教育委員会 2008年 『愛荘町民俗調査報告書 第二輯 郷とムラの春祭り』

youtubeでホンビの太鼓山の宮入を見ると、伊勢音頭を歌いながら担いでいたことから、太鼓山は曳山であるが、本来はやはり近江八幡市などで見られる太鼓を担ぐ祭りの大太鼓から発展したんだろうと思う。下の写真は彦根市高宮神社の春祭りに出る大太鼓。
DSC_0789_2015041318144204d.jpg


盆踊りの発祥については、単一のものから発展したわけでなくてさまざまな要素が混ざり合って成立したとされる。踊念仏、風流の発達、文化の発展など。しかもある一地域で成立して伝播していったわけでもなく、あちこちで起こって影響し合って、現在の盆踊りが成立していったとするべきである。
盆踊りについては折口信夫の「盆踊りの話」は青空文庫で読める。
「-盆踊りの世界-」 http://www.bonodori.net/index.htm も参照されたい。
盆踊り=仏教というわけでは必ずしもないということは留意すべきですね。



ブログ内の盆踊りの記事まとめ
【金岡】
2013年8月13日試験担ぎ
2013年8月14日(1日目)
2014年8月13日試験担ぎ
2014年8月14日(1日目)その1 その2 その3
2015年(1日目)その1 その2
2016年8月14日(1日目)その1 その2

【出雲大社大阪分祠・大阪新田盆踊り】
2013年8月10日
2015年8月15日その1 その2

【高松】
2015年8月13日

【隠】
2015年8月8日

【福町3町合同盆踊り】
2016年8月6日

【新家】
2016年8月13日

【上之】
2016年7月30日

【陶器北村】
2016年7月30日
関連記事
  1. 2016/06/18(土) 14:41:29|
  2. まとめ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
<<まもなく夏祭りシーズン突入ですね。 | ホーム | 起重機船武蔵が大阪港にやってきました。2016年6月6日>>

コメント

参考になります。
さて堺市深井水池にも大太鼓があります。
大太鼓も担ごうと思って購入するも、
地車あるからもういいやと、
言うことらしいですよ。
  1. 2016/06/18(土) 20:33:31 |
  2. URL |
  3. いわねえ #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

いわねえさん

札幌遠征お疲れ様でした。またお話聞かせてください。
高松が何年か前に大太鼓を大きいのにしたのと対照的ですね。平成23年までは小さいのを使ってたのを確認してまして、平成26年には大きくなっています。
西中も大太鼓がありますが、担ぐのは2015年にはなくて軽トラに載せて廻るだけでした。
  1. 2016/06/18(土) 22:19:29 |
  2. URL |
  3. カシトン #-
  4. [ 編集 ]

今晩は
金岡金田村が住吉と並ぶ地車の生産地だったことをご存知で。

それなら釈迦に説法かもわかりませんが、明治期の堺の地車騒動による地車禁止の影響でしょう。旧市内や百舌鳥は蒲団太鼓にスイッチしたけど、この地区はしなかったからだと思います。
  1. 2018/08/14(火) 23:18:06 |
  2. URL |
  3. すっぽん #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

すっぽんさん、こんばんは

金岡(金田村)の河村新吾という大工が地車を製作、松原市更池地車に銘が残っていますね。
地車騒動が原因として考えられますが、道が狭かったというのも遠因かもしれません。
地車と盆踊りが共存していた時期があるかもしれませんが、地車が廃れた後に盆踊りにシフトし、大正末期に大道町が今の原型の太鼓担ぎを始め、他の町も追随したということのようです。
  1. 2018/08/15(水) 01:44:34 |
  2. URL |
  3. カシトン #-
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://hatotetsu.blog89.fc2.com/tb.php/992-4db058f7
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

最近の記事

最近のコメント

カテゴリ

祭り (897)
大阪市 (293)
南河内 (108)
中河内 (102)
北河内 (35)
摂津 (29)
泉州 (83)
兵庫県 (175)
奈良県 (45)
その他地域 (27)
のりもの (183)
鉄道 (59)
船 (48)
バス (72)
飛行機 (3)
特集 (22)
イベント(祭り以外) (18)
博物館・展示物 (15)
地車・太鼓台など (59)
寺社探訪 (0)
散策 (35)
風景 (15)
連絡・雑記 (34)
外出先 (34)
猫 (0)
撮影地 (1)
まとめ (16)

タグ

地車 秋祭り 夏祭り イベント 布団太鼓 太鼓台 平野区 春祭り 枕太鼓 試験曳き 羽曳野市 東大阪市 東灘区 堺市 柏原市 尼崎市 福島区 藤井寺市 八尾市 神輿 豊中市 大太鼓 獅子舞 入魂式 守口市 盆踊り 梵天太鼓 生野区 東住吉区 灘区 近鉄 西淀川区 宝塚市 鶴見区 屋台 旭区 南大阪線 西宮市 松原市 都島区 城東区 大東市 吹田市 河内長野市 神戸市 天王寺区 芦屋市 試験担ぎ 加西市 宇陀市 富田林市 池田市 岸和田市 東成区 神事 博物館 橿原市 垂水区 姫路市 滋賀県 山車 泉南市 やぐら 夜店 太鼓枠 奈良市 住吉区 大阪市北区 淀川区 此花区 広陵町 伊勢神宮 中央区 曳山 石取祭 大和高田市 淡路市 西成区 小牧市 風景写真 京都 堺市北区 ふとん屋台 川西市 名古屋市東区 鉄道 枚方市 祭車 制動テスト 昇魂式 三郷町 伊丹市 港区 東淀川区 香川県 高松探訪 門真市 だんじり 四条畷市 木津川市 浪速区 貝塚市 三重県 和歌山県 泉佐野市 だいがく 京都府 茨木市 播磨 北播 臨時列車 三木市 名古屋 布団屋台 加東市 兵庫区 奈良県 明石市 淡路島 完成式 宇治市 大和郡山市 十日戎 阪南市 三田市 大正区 藤井寺 京都訪問 西区 河南町 葛城市 山鉾 やぐら(泉州) 風景 住之江区 大津市 桑名市 展示物 お木曳き 竣工式 天理市 神額 高松 ふとん太鼓 美原区 王寺町 神社 バス 御白石持行事 名古屋市 

ブログ内検索


全ての記事を表示する

月別アーカイブ

リンク

アクセス数