大和型太鼓台とか、大和太鼓台とか言われている太鼓台の写真を集めてみました。
奈良県内の太鼓台はどこで製造されたのでしょうね。彫師は小松一門なんかがよくみられるようですが。宇賀志太鼓台のホームページには桜井説とか書いてありました。
地車は堺方面や河内方面から山を越えてえんやらやーと渡ってきたのでしょうが(住吉型、堺型、北河内型が多数であることからもわかる)、太鼓台は地域ごとに特有とは言いませんが、ある程度地域ごとに形が似通ったものが集まる傾向にある感じがします。まだ感じがします程度のぼんやりした感想ですが・・・・・・。
このブログにおいて大和型太鼓台とは何を指しているか明確にしておくと
・奈良県内にある、あるいは奈良県内にあった太鼓台であること
・屋根は地車様の唐破風屋根や、社殿様の入母屋造の屋根など、布団ではなく建築物などの影響を受けた屋根であること。
以上2点の条件にあてはまる太鼓台のこと
って感じだろうか。
ちなみに唐破風屋根とか社殿風屋根の太鼓台は奈良県以外にも探せばあるので、地域限定しないといけませんね。
有名どころだと
淡路島小豆島の伊喜末八幡神社に1台ありましたよね。
(訂正:淡路島の伊喜末八幡神社→小豆島の伊喜末八幡神社)
大和型の一種であると言える、龍田大社にある唐破風屋根の太鼓台については別記事にまとめていますのでそちらをご覧ください。
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龍田型太鼓台まあ前口上はこの辺にして、以下は写真蒐集です。

橿原市膳夫町、三柱神社の太鼓台です。
入母屋造、妻入り、瓦吹き風、前後には唐破風、刎ね勾欄。
勾欄は前後の真ん中で切れています。切れた端部は擬宝珠が付きます。
彫物は小松一門によるらしいです。
近所の出合町にも入母屋造の太鼓台があるようです。
彫物名鑑 小松堂 「
究極の社殿型太鼓台 」http://blogs.yahoo.co.jp/goku3218/2287483.html
橿原市曽我町にもあるようです。
曽我町自治会ホームページ 「
10月20日(土)両神社で秋祭りの宵宮祭が行われました。」 http://sogacho.com/?p=985
また曽我町には入母屋屋根太鼓台風の屋根を持つ2枚屋根の子供だんじりもあるようです。

宇陀市榛原、墨坂神社の宮本太鼓台です。
入母屋造、妻入り、板葺風から瓦葺風への改造、前後に唐破風、擬宝珠勾欄。
残念なことにはペンキで彩色されてしまっています。
唐破風部分のみ板葺風時代の名残があります。
泥台にも担い棒がついています。

宇陀市榛原、墨坂神社の東町・稲荷太鼓台です。
入母屋造、妻入り、瓦葺風、前後に唐破風、刎ね勾欄。
勾欄は前後の真ん中で切れています。切れた端部は擬宝珠が付きます。
平成に入ってから地元有志によって大修理されています。

宇陀市榛原、墨坂神社の宮本太鼓台です。
入母屋造、妻入り、瓦葺風、前後に唐破風、擬宝珠勾欄。
たぶん、ニスか何かが塗られてしまっています。
宇陀市榛原から徒歩30分くらいの自明というところにも入母屋造りの太鼓台があるようです。
大阪祭礼記 TaroSannbon 「
平成20年 宇陀市榛原区御井神社秋祭り本宮 自明太鼓台 」 https://www.youtube.com/watch?v=uLq8rg4CFCw
自明よりもさらに山に入っていったところにも1台あるようです。

天理市、和邇下神社の瓦釜太鼓台
入母屋造、妻入り、瓦葺風、前後に唐破風、擬宝珠勾欄。

天理市、和邇下神社の膳史太鼓台。
入母屋造、妻入り、板葺風、前後に唐破風、擬宝珠勾欄。

天理市和邇下神社、高品太鼓台。
入母屋造り、妻入り、板葺風、前後に唐破風が付きません、擬宝珠勾欄。
天理市にはほかに少なくとも2台の入母屋造の太鼓台があるようです。
だんじりeoSpecialEdition 悠々!だんじり録 「
久しぶりに、すごぉーい太鼓台を見てきたどぉー!」 http://danjiri-tsushin.blog.eonet.jp/default/2012/10/post-5cdb.html
天理市立櫟本小学校 「
秋祭り(森本町) 「森神社」はすごい!」 http://ed.city.tenri.nara.jp/ichinomoto-el/index.cfm/1,1962,28,html
以上が過去に撮影した入母屋造りの太鼓台です。
明日香村方面にもあるらしいと聞いたことがありますが、実物を見たことも写真で見たこともありません。
なんとなく、宇陀方面の山中から奈良盆地の南東方面に多いイメージがあります。
・
初瀬まつり (
與喜天満神社 http://yokiten.com/ )
10月第3日曜日の秋祭り(初瀬まつり)で社殿屋根の太鼓台が最多で4台出る。神輿当番のところは太鼓台が出ないらしいが、飾りつけはしてるようです。
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菟田野秋祭り (宇太水分神社 http://www1.odn.ne.jp/udanomikumari/ )
10月第3日曜日、宇太水分神社の秋祭りです。社殿屋根の太鼓台6台。
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小川祭り (
丹生川上神社中社 http://www.niukawakami-jinja.jp/ )
10月16日に近い日曜日、丹生川上神社中社の秋祭りです。8台の社殿屋根の太鼓台が出ます。
上記3つのお祭りが社殿屋根の太鼓台の出る主な秋祭りです。特に菟田野秋祭りと小川祭りは台数も多いので行ってみたいですが、祭礼日がネックですわ。
入母屋造太鼓台の紹介されているホームページをまとめます。上に記載したのもまとめて。
・橿原市出合町
彫物名鑑 小松堂 「
究極の社殿型太鼓台 」http://blogs.yahoo.co.jp/goku3218/2287483.html
・橿原市曽我町(天高一神社)
曽我町自治会ホームページ 「
10月20日(土)両神社で秋祭りの宵宮祭が行われました。」 http://sogacho.com/?p=985
また曽我町には入母屋屋根太鼓台風の屋根を持つ2枚屋根の子供だんじりもあるようです。
・宇陀市榛原自明
大阪祭礼記 TaroSannbon 「
平成20年 宇陀市榛原区御井神社秋祭り本宮 自明太鼓台 」 https://www.youtube.com/watch?v=uLq8rg4CFCw
自明よりもさらに山に入っていったところにも1台あるようです。(榛原の宮本町の方から聞いた話)
・
「又兵衛桜」と「かぎろひ」の里 奈良県宇陀市大宇陀 薬草料理 阿騎野鍋 料理旅館今阪屋 「
太鼓台巡行中!」 http://0745830062.blog.fc2.com/blog-entry-38.html
宇陀松山春日神社の太鼓台だそうです。
・天理市三島町
だんじりeoSpecialEdition 悠々!だんじり録 「
久しぶりに、すごぉーい太鼓台を見てきたどぉー!」 http://danjiri-tsushin.blog.eonet.jp/default/2012/10/post-5cdb.html
・天理市森本町
天理市立櫟本小学校 「
秋祭り(森本町) 「森神社」はすごい!」 http://ed.city.tenri.nara.jp/ichinomoto-el/index.cfm/1,1962,28,html
・
天理市広報2015年10月号 http://www.city.tenri.nara.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/16/1602.pdf
杵築神社(南六条町)、伊射奈岐神社(柳本町)でも大和型太鼓台が出るようです。
・
GOOD LUCK 「
伊射奈岐神社の秋祭り」 http://tenichi.blog.jp/archives/46555216.html
・御杖村御杖神社
Kappa2700 「
2011年・御杖神社・太鼓台(奈良県御杖村)」 https://youtu.be/ukux-VizqfI
・奈良市西大寺太鼓台
Kappa2700「
2013.10.12(土)・西大寺秋祭り《太鼓台》(奈良市) 」 https://youtu.be/dhsGGXMMBS4
・桜井市大神神社、大美和青年会
大美和青年会 http://www.oomiwa-seinenkai.com/index.html
・明日香村字川原(板蓋神社)
上地車図解 「
地車見学2006.10.7」 http://kamidanjirizue.web.fc2.com/kengaku_061007.htm
・旭ヶ丘工務店さんの掲示板に奈良県の太鼓台の興味深い書き込みが多くあります。
旭ヶ丘工務店 http://asahigaokakoumuten.web.fc2.com/
・楽鼓會さんの掲示板に興味深い書き込みがあります。
楽鼓會掲示板 http://8904.teacup.com/rakukokai/bbs?
・
新町組~御坊祭・中組サイト 「
平城京遷都1300年祭 太鼓台交流」 http://www.shinmachigumi.com/horoki_13-1.htm
奈良市にも社殿屋根の大和型太鼓台があるようです。中山八幡神社の中山町太鼓台、西大寺八幡神社の西大寺太鼓台、八所御霊神社の秋篠町太鼓台
ウェブサイトは2016年2月4日に閲覧
上に紹介したサイト様以外にも大和型太鼓台はきっとあるはずです。
桜井市、橿原市、宇陀市、曽爾村、東吉野村、御杖村、明日香村などにあるということは吉野村とか高取町とかにあってもいいような気がします。
またたぶん宇陀市とかの山奥に祭りにも出なくなったようなのがあるのではないでしょうか。
もはやすべてを解明するのは個人の趣味の範囲では非常に難しいので教育委員会とかが調べてほしいですねえ。
ところで疑問なんですが、神社の本殿建築において入母屋造りって少数派なんじゃないかなあって思うんですよ。
神宮正殿の唯一神明造にしろ、春日大社の春日造にしろ、最も数が多いとされる流造にしろ、切妻造が主流だと思うのです。
ですが、切妻屋根の太鼓台は地車の屋根を載せたような唐破風切妻屋根の太鼓台があるくらいで、神社本殿のような切妻屋根の太鼓台はまだ知りません。あるかもしれませんが、たぶん無いでしょう。
考えられる理由としては
①本殿を模すのは畏れ多いということ
②本殿よりも目にする機会の多い拝殿を模したということ
③むしろ神社ではなく仏教において仏像を安置する厨子、とくに宮殿型厨子を模したのではないかと言うこと
①については言うまでもなく、本殿は神様の座する場所ですから、本殿を模すのは神の乗り物である神輿であるべきです。ただし、太鼓台に乗って太鼓を打つ人は神に等しい存在として扱うことが多いので、神輿に近い存在であると言えるかもしれません。
②についてはたとえば大神神社、談山神社などの拝殿は入母屋造で唐破風もつく豪華な作りです。こういう拝殿を模したというのは考えられますね。
③画像検索してもらうと、仏像などを安置する厨子のうち特に宮殿型厨子は入母屋造の屋根が載っています。神仏習合の色が濃い時代ではありえるかもしれません。またお寺の建築では本堂はしばしば入母屋造です。
まあ、妄想ですけどね。まだ大和型太鼓台を見た数が少なすぎます。
しかし一つ言いたいのは、おそらく大和型太鼓台は神社の本殿を模しているわけではないと思われるということです。
・現状では地車様の唐破風屋根を除くと入母屋造しか見たことがない
・瓦葺風の意匠の屋根を持つものの割合が高い
というのが根拠です。
ネットで検索していて分かったことには、大和型太鼓台の分布する地域は山がちでどうも祭りの担い手が減って行ってお蔵入りになってしまっている太鼓台が少なくないようなのです。
逆に榛原の東町稲荷のように復活した太鼓台もあるんですが・・・。
そうそう、大和型太鼓台と一口に言うてますが、その中でも形はいろいろあります。
龍田型は四方に唐破風の付く屋根なので一目でわかります。龍田型って勝手に私が言うてるだけですが。
入母屋造の屋根を持っていても、板葺風か瓦葺風とか、唐破風の有無とかありますし、勾欄が刎勾欄か擬宝珠勾欄か、前後の擬宝珠が切れているか否かとかもあります。たぶん、垂木の形状も差異があると思います。尾垂木の有無とか支輪の有無とか
いずれにせよ、もっと数を見なければなりません。
ついでに社寺建築についてもっと知らねばなりません。
また何か分かったら追記するなり、新しく書きます。
以上
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- 2016/02/05(金) 00:00:23|
- 地車・太鼓台など
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ジンジャーさん
蛙とび行事に出る現在の太鼓台はふとん太鼓だったと思います。まだ見たことはないのですが。
吉野は秋祭りに蛙のとは別の太鼓台が出ますね。見たことないですが・・・
http://www.library.pref.nara.jp/supporter/naraweb/hurusato%20yosino%20kaikosyasin.html
こちらに昔の蛙とび行事の写真が載っていますが、古い蛙太鼓台は屋根がなくて、四方に笹か何かを立てて結界としているような太鼓台ですね。
- 2016/02/05(金) 18:51:10 |
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