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金岡町盆踊り大会の歴史について

この記事では大阪府堺市北区金岡町で毎年8月14日と15日の2日間行われている金岡町盆踊り大会の歴史について、いくつかの書籍や資料と聞き取りから得た情報を基に記述していきます。

大雑把にまとめると
①明治16年の干ばつ、明治29年の堺の地車騒動などで金田村の地車が衰退した。
②大正末期に大道町が盆踊りの太鼓を枠に載せて初めて担いだ。
③1970年前後に会場が金岡神社境内に移った。それまでは馬場先で行われていた。
④遅くとも2005年には2018年現在と同様のパレード・宮入の制度が出来上がっていた。

④についてはいつごろ現行のパレード・宮入という仕組みができたのかご存知の方がいらっしゃいましたらご教授いただけると嬉しく存じます。

・盆踊りの歴史
 盆踊りは遅くとも明治のころから行われていた。明治12年生まれの人の頃には行われていたとのことで、その方が10代のころにあったとして明治20年代には行われていたのだろう。少なくとも130年は歴史がありそうだ。
 盆踊りは現在、毎年8月14日・15日の両日に行われている。農家がほとんどだったころは盆踊りは8月15日と16日の2日間だったという。昭和40年代は8月15日前後に行われてきたが昭和48年は7月16日に行われた。遅くとも平成17年(2005)からは現行の8月14日・15日に行われている。
 金田村は地車の産地として有名で金田にも何台かの地車があり秋祭りに出たが、明治10年代から20年代までに地車祭りが衰退し、代わりに盆踊りが盛大になっていった。往古は今のような太鼓担ぎはなく、1本の担い棒で太鼓を担いで押し合いへし合いしながら、当時の盆踊りの会場である馬場先まで運び盆踊りを行っていた。
 大正末期に大道町が太鼓を枠で担ぎ始めた。のちに他の町も太鼓を担ぐようになる。これが現在の太鼓担ぎの原型だという。少なくとも戦前から担いでいたのは確からしい。しだいに踊りよりも太鼓担ぎが有名になっていった。
 元々、盆踊りの会場は馬場先だった。馬場先は古くから金田村の行事が行われる広場として活用されていた。戦中戦後の混乱期に1度、小学校で盆踊りをしたことがあったらしい。昭和37年(1962)、現在の府道192号我堂金岡線が舗装されると次第に交通量が増加した。道路を通行止めにして盆踊りを開催することが難しくなったため、金岡神社境内を借りて盆踊りを行うようになった。馬場先から離れた他の広場を使う話もあったようだが、金岡神社の厚意もあって境内盆踊りを行うことになったという。こうして祭礼ではないのに盆踊りが神社で行われるようになったのである。
 昭和45年(1970)8月5日、大阪万博で日本青年会議所が日本各地の民俗行事を招待していた野外劇場に金岡町盆踊りが出演した。大道町を含む5町の大太鼓が打ち鳴らされ、踊りもにぎわったという。
 昭和49年(1974)、前年に連合会に加盟した九頭神町が太鼓を購入し盆踊りに参加するようになり、現在盆踊りに参加する十一町がそろった。九頭神町は九頭神池を埋め立てた後にできた新しい町会だが、主に旧金田村の人が移り住んだ町会のため盆踊りに参加することができたのだろう。
 昭和51年(1976)、大道町が子供たちのために子供太鼓を買おうというので、せっかくだからと連合会で共同購入し全町で子供太鼓が始まる。どの町も子供太鼓の大きさや形がほぼ同じなのはこのためである。
 昭和52年(1977)ころ大道町と東御坊町の太鼓が竹内街道で一緒に担いだ。後年には中之町も加わって3町で一緒に担ぐようになった。
 昭和61年(1986)、金岡神社の鳥居が建て替えられ(施工は地元の河村工務店)、この年から太鼓を肩に担いだままで宮入りできるようになった。前年までは慶安2年の石製鳥居で、太鼓が通るのは腕でかいてギリギリだったらしい。
 現行のパレード・宮入の形が整ったのは2000年以降らしいが、ちゃんとした情報ソースがないので、ご存知の方、どなたか教えてください。少なくとも2005年には現在とほぼ同じ体制でパレード等が行われていた。それ以前は町ごとに決められた時間に太鼓を運び入れていたという。
 平成22年(2010)に大道町が当番町の年に台に彫刻を施す(板谷工務店)。金岡では初めての事例。以降、いくつかの町もこれに追随して彫刻を施す。
 平成30年(2018)、金岡町盆踊り大会が50周年を迎えた。盆踊り自体は昔からの行事だから、「金岡町盆踊り大会」として50周年ということなのだろう。 金岡町自治連合会も1969年の発足から50周年である。


・関連年表
慶安2年、金岡神社の先代の正面石鳥居が建てられる。
慶安年間(1648-1652)、今の二軒茶屋に金田村の出屋敷ができる。
江戸後期、時期不明、東御坊の先代太鼓が製作される。瓜破から入手した。
明治初期、大道町の太鼓が浪速の太鼓屋で製作される。某町の発注?。
明治14年、金田村住人河村新吾が現在の松原市更池の地車を制作。制作年が明らかなものでは最新と思われる。
明治16年の大干ばつで多くの町が地車を手放した。馬場町、大道町、御坊町、中之町に地車があった。
明治22年4月1日、長曽根村と金田村が合併して金岡村になる。村名は金岡神社に由来。役場は大道町に設置。
明治29年、住吉大社の夏祭りのときに堺のだんじり騒動が起こり堺旧市街で地車の曳行が禁止される。
同年、井之尻の太鼓が播磨屋源兵衛によって製作される。井之尻の発注か後年に中古購入かは不明。
明治31年、高野鉄道(現在の南海高野線)が堺大小路(現堺東)~河内長野の区間で開通する。
大正元年、高野鉄道の中百舌鳥駅が開業する。金田村の人たちは鉄道に乗るときは中百舌鳥まで出た。
大正初期、馬場先にあった馬場町の地車小屋が無くなる。
大正末期、大道町が太鼓を枠に載せて担ぎ始める。他の町も真似をする。
昭和3年(1928)ころ、大阪鉄道(現近鉄南大阪線)のバス部門の大鉄バスが古市町(現羽曳野市古市)から竹内街道経由で堺まで路線バスを運行開始、金岡村にもいくつかのバス停が設置される。馬場町に2台くらい止まれる車庫があった。戦後に廃止。
昭和7年(1932)、阪和電気鉄道(現JR阪和線)の堺市停留場(現堺市駅)が開業する。昭和19年~昭和40年は金岡駅を名乗っていた。
昭和13年(1938)、金岡村が堺市に編入される。
昭和14年(1939)、金岡村を金岡町に改称する。
昭和27年(1952)、現在の府道192号我堂金岡線の中央環状線~金岡神社部分が未舗装で開通する。当時は市道として敷設された。
昭和32年(1957)、現在の府道192号我堂金岡線の金岡神社~二軒茶屋部分が未舗装で開通する。
昭和37年(1962)、九頭神池が売却される。現在の府道192号我堂金岡線が舗装され、竹内街道と合わせて金岡の道路の骨格が完成する。しばらくして現南海電鉄系の路線バスが通るようになる。
 このころ、盆踊りの会場が金岡神社境内に移ったらしい。従来は馬場先で開催されていたが交通量が増えて交通規制が難しくなったため。
昭和44年(1969)、金岡町自治連合会発足。
昭和45年(1970)、大阪万博で日本青年会議所が主催した野外劇場に金田の盆踊りが出演する。太鼓は大道町と他4町が出た。
昭和47年(1972)、金岡神社の秋祭り(10月9日・10日)で例年は行われない稚児行列が催され、神社から頓宮の西の宮(現楠塚公園)まで練り歩く。
昭和48年(1973)、新興の九頭神町が連合会加入。この年は盆踊りが7月16日に開催される。
昭和49年(1974)、九頭神町が太鼓を購入し盆踊りに参加するようになる。11町会の太鼓がそろう。
昭和49年~昭和51年、九頭神以外の10町会の会館が建設される。
昭和51年(1976)、盆踊りの子供太鼓を連合で共同購入、各町で子供太鼓が始まる。
同年、西御坊が子供布団太鼓を購入。
昭和52年(1977)ころ大道町と東御坊町の太鼓が竹内街道で一緒に担いだ。のちには中之町も加わった。
昭和53年(1978)、堂之辻が子供布団太鼓を購入。
昭和55年(1980)、九頭神会館が建設され、連合会11町会の会館が完成する。
昭和61年(1986)の6月から8月にかけて金岡神社の鳥居をコンクリート製の今のものへ建て替え。従来は石造りの鳥居(慶安2年)で背が低く、太鼓を担いでくぐるのはギリギリだった。この頃はまだ馬場先にバス停待合所兼自転車置き場があった。連合会館はまだなく書店があった。
昭和62年(1987)、大阪市営地下鉄(現大阪メトロ)御堂筋線の新金岡駅が開業する。
平成元年(1989)前後、南河内のだんじり祭りでマイクなどの音響機器を用いた曳き唄が流行し始める。
平成、時期不明、金岡神社の前に金岡町自治連合会館が建設される。
平成、時期不明、大太鼓パレードが始まる?。2002年ころから?
平成17年(2005)、だんじりファンサイト「府中だんじり祭り」で金岡町盆踊り大会が紹介される。ウェブ上に現存する一番古い見物レポート。この年すでに曳き唄、宮入・パレード、揃いの法被など2018年現在と変わらない体制で太鼓が担がれている。
平成18年(2006)、堺市が政令指定都市に移行。区制を敷く。
平成22年(2010)、金岡で初めて大道町が太鼓の台部分に本格的な彫刻を施す。(板谷工務店・木下彫刻工芸)。これ以降、東御坊(2012)、中之町(2014)、二軒茶屋(2015)も台に彫刻を施す。
平成25年(2013)、献灯台を新しくする(二代目)。
平成27年(2015)、諸事情のため大道町の太鼓出ず。
平成30年(2018)、金岡町自治連合会50周年。


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↑昭和61年(1986)6月、建て替え直前の金岡神社の石造りの鳥居。慶安2年。大道町のT氏撮影。


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↑同じく、鳥居建て替え工事の告知看板。大道町のT氏撮影。


参考文献
堺市金岡町自治連合会10周年記念誌編集委員会 編(1979)『堺市金岡町自治連合会10周年記念誌』
堺市金岡町文化協会/編(1994)『目で見る金岡のうつりかわり』
佐々木達哉「南河内のだんじり文化」、『桃山学院大学学生論集』復刊25号 https://www.andrew.ac.jp/gakuron/pdf/gakuron25-6.pdf
田中金太郎(1987)『金田風土記』……中野治共著でない版
山中啓祐己(1986)『堺・布団太鼓盛衰記』  堺市立図書館電子図書館で閲覧 https://www.d-library.jp/SKI01/g0101/top/
『金岡町自治連合会会報』第111号、2013年10月発行
「山車・だんじり悉皆調査」http://www5a.biglobe.ne.jp/~iwanee/
「府中だんじり祭り」http://dankiti.run.buttobi.net/ 内「お祭りレポート|平成17年度」
「けやきの杜|盆踊り、太鼓吊り」http://keyakinomori.ninja-web.net/taikoturi.htm
堺市北区「北区域歴史探索事業「三街道(竹内・長尾・西高野)写真展」について」http://www.city.sakai.lg.jp/kita/machizukuri/rekishi_shasinten.html より「竹内街道の今昔写真」https://www.city.sakai.lg.jp/kita/machizukuri/rekishi_shasinten.files/takenouchi.pdf
堺市公式サイト「地名の由来が知りたいんだけど?」 http://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/jutaku/jutaku/jukyohyoji/chimeiyurai.html
松原市公式サイト「138 河村新吾上棟の更池だんじり」http://www.city.matsubara.osaka.jp/index.cfm/10,27887,51,260,html
海上保安庁海洋情報部「旧暦のあれこれ」 http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KOHO/faq/reki/kyuureki.html
さかにゅー「【金岡町盆踊り大会】8/14(火)・15(水)★50周年を迎える平成最後の盆踊り★@金岡神社」 https://sakai-news.jp/event/20180726_a004_kanaoka
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  1. 2018/09/01(土) 18:03:40|
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コメント

情報です

鳥居建て替え前も肩に担いで宮入りしてましたけどね。現在よりは一回り小さな枠でしたけどね。
  1. 2018/11/05(月) 23:44:10 |
  2. URL |
  3. 金岡在住 #NL852uQM
  4. [ 編集 ]

Re: 情報です

コメントありがとうございます、訂正しておきます。
  1. 2018/11/18(日) 22:29:49 |
  2. URL |
  3. カシトン #-
  4. [ 編集 ]

記事読ませて頂きました!!
自分の住んでいる町の事ですが、知らない事だらけで、凄く勉強になりました!!
昔の鳥居の写真にはなぜか感動しましたっ!!
私も金岡十一町の太鼓担ぎに携わる者としてこれからも歴史と伝統のある金岡盆踊り大会を盛り上げていけたらと思います!!
  1. 2019/03/04(月) 14:30:42 |
  2. URL |
  3. ゲスト #-
  4. [ 編集 ]

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