祭りの写真など

枕太鼓考

枕太鼓いろいろ http://hatotetsu.blog89.fc2.com/blog-entry-690.html というのを以前に書いたことありますが、それからもっとたくさんの枕太鼓を見てきたので、いろいろ追加情報もありますので、改めて書いてみます。

DSC_1346_20160727164041589.jpg


枕太鼓とは西日本・瀬戸内地域に多く存在する太鼓台の一種であり、そのなかでももっとも簡単な構造をしている部類に入ります。太鼓台の前後に枕に見える大きなクッションがあることから枕太鼓と一般的に呼ばれますが、一部では催太鼓という呼称も使われ、また単に太鼓と呼ばれることもしばしばあります。
枕太鼓は分布がほぼ大阪市中心部に集中しており、都市祭礼の特徴である疫病封じのための夏祭りに出るものがほとんどです。
元来的には枕太鼓は神輿の道中の露払いや触れ太鼓の役割を持ちました。そのため枕太鼓は宮付き(神社所有)であり、太鼓中などの講(崇敬者組織)が枕太鼓を運営するという形が一般的であったようで現在でもこの形式で運営されている枕太鼓が多く残っています。しかし、構造の単純さから子供向けの山車として枕太鼓形式の子供太鼓台を町で所有することもあります。一部では町ごとに枕太鼓を所有する地域も存在します(旭区清水)。

分布域と実際の稼働状況から考えて、現段階では枕太鼓は大阪特有の太鼓台だと私は思っているのですが、まだ知らないことが多すぎて断言はできませんね。

枕太鼓の概要と、私の現時点での考えを述べたところで、続きもこまごまと書いていきます。

枕太鼓に限らず、太鼓台は元来は神輿渡御の列の先頭に立って道中の露払いをしたり、渡御に先立って町内を巡行して神輿が来ることを知らせる触れ太鼓の役目を担っていたりしたようです。地車(だんじり)が単に氏子の賑やかしとして行われているのに対して、太鼓台は神輿渡御に重要な役割を持っている点で違うわけですね。

地車は基本的に町ごとの所有であり、近隣町よりも立派なものを持ちたいという心理が働いて華美化していくのは想像に難くないですが、ではなぜ枕太鼓の練り方や太鼓の打法が現在のように複雑になっていったのでしょう。
枕太鼓は神社につき1台であり、神社の持ち物である以上、勝手に改装したり、別の形態(たとえば布団太鼓)にしたりするのは制限があったのではないでしょうか。しかし、地車が宮入りしてくると彫刻や幕が派手な地車には見た目では到底かないませんから、できることと言えば太鼓台の練り方と太鼓の打法の高度化が目立つためのほぼ唯一の道だったんではないでしょうか。

そして、枕太鼓の張り合いは宮入りしてくる地車だけではなかったと思います。近隣神社の枕太鼓同士が競い合っていたんじゃないかと思います。
野田恵美須神社の枕太鼓の紹介文には、「昔は生國魂、天満、御霊、茨住吉と並んで勇壮な太鼓の五指に数えられていた」という風に言われています。人々の間で枕太鼓が評価されていたということは枕太鼓間で競争心理が働いていたということです。枕太鼓という同一形式の中で競い合い、横倒しなどの派手な練り方が登場して打法も複雑化したことでしょうし、載せる太鼓の音色も重要でしょうし、太鼓は豊臣秀吉から拝領したとかいうような言い伝えで権威を強化するのも行われたことでしょう。また、枕太鼓同士が直接出会うことは無かったでしょうし、人々の噂や評判の中で競い合っていたことが想像されますね。

そして時代が下ると市内中心部では町の持ち物であった地車はさまざまな理由で廃れていき、神社の持ち物である枕太鼓は地車や他神社の枕太鼓と競い合う中で高度な練りと打法を完成させた上で祭りの花形として残ったんでしょう。
大阪市中心部で現存する地車は大阪天満宮も野田恵美須神社も櫻宮もですが、ほとんど宮付きですねえ。





枕太鼓は3タイプあるんじゃなかろうかと。
①宮付き
②子供太鼓
③地車性質的

①は宮付き、つまり神社の持ち物で触れ太鼓的性格がより強いもの
②は構造の単純さから子供向けの山車として使用されるもの、大方が町所有
③は地車のように氏子各町が所有するもので担い手は主に大人の枕太鼓

②と③は分ける必要がないようにも思いますけど、一応分けておきましょう。


②は枕太鼓の構造の単純さから子供向けの山車として採用された例です。地車形式より安価に製作できますし、子供の表情を親御さんが撮影しやすいという副次的効果もありますね。
正直、このタイプの枕太鼓は神社祭礼に直接関係ない町内会や子供会ごとにあったりするんで数を把握するのは非常に難しく、半ばあきらめています。
元は①だったのが人手の減少から担い手たる青年会の解散によって枕太鼓の運営が町内会や子供会に移管されて②になった例もありそうですね。その場合は神社所有のままのこともあるかもしれません。
というか元来的には触れ太鼓の乗り子は無垢である必要から子供でしたので枕太鼓はもともとは子供のものだったということができるかもしれませんが。???


③は具体的には大阪市旭区北清水八幡大神宮の太鼓枠と呼ばれる枕太鼓が当てはまると思います。当地では天神祭の催太鼓が伝わって独自の発展を遂げたという風に言われています。いつごろ成立したんでしょうねえ。
北清水八幡宮の9月の秋祭りでは氏子6団体ではそれぞれから太鼓枠(あるいは単に枠)と呼ばれる枕太鼓が出ます。大方大小の2台がそれぞれの町から出るので12台くらいあるんじゃないでしょうか。
神輿渡御のための露払いというわけでもなく、地車の代わりになっているんじゃないかなあと私は思います。
往古は7月の夏祭り、9月の放生祭、10月の秋祭りと年に3回大きな祭りがあったそうですが、現在は7月の夏祭りと9月の放生祭(秋祭り)が残ります。このうち10月の秋祭りは地車が出ていたそうです。
ただし、西暦奇数年の夏祭りのお渡りには六人枠という氏子6団体共同で運行される枕太鼓が出ますが、これは①のような感じでしょう。また近くの守口市高瀬神社の太鼓枠は清水地域と同様の担ぎ方をしますが宮付きであり神社の周りを短時間回るだけなので①に含まれると思います。
播州の西脇市高田井の暴れ太鼓は天満宮の催太鼓が伝わったものとされており、枕太鼓の一種ということができます。ここもまた複数の太鼓が祭りに登場するので③に含めるのが妥当でしょう。




海老江八坂神社の北之町の枕太鼓は町所有ですが、かつて神輿渡御のあったころは露払いとして先頭を行き、現在もパレードでは先頭、宮入も一番固定です。また、他町の地車の影響で枕に龍の刺繍が入っており、ぼんぼりが側面についているのも特徴です。
野里住吉神社の北之町は現在の枕太鼓の以前は布団太鼓であったようです。この枕太鼓についてはあまり調べられていません。
鼻川神社の枕太鼓・地車は宮付きとのこと。
関連記事
  1. 2016/07/30(土) 20:44:40|
  2. まとめ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<西九條神社の夏祭り本宮、2016年7月26日 | ホーム | 大市八幡神社の夏祭り、2016年7月15日>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://hatotetsu.blog89.fc2.com/tb.php/1022-35ae75f9
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

最近の記事

最近のコメント

カテゴリ

祭り (905)
大阪市 (294)
南河内 (109)
中河内 (102)
北河内 (36)
摂津 (29)
泉州 (85)
兵庫県 (175)
奈良県 (45)
その他地域 (30)
のりもの (186)
鉄道 (60)
船 (50)
バス (72)
飛行機 (3)
特集 (22)
イベント(祭り以外) (18)
博物館・展示物 (15)
地車・太鼓台など (59)
寺社探訪 (0)
散策 (35)
風景 (15)
連絡・雑記 (36)
外出先 (34)
猫 (0)
撮影地 (1)
まとめ (16)

タグ

地車 秋祭り 夏祭り イベント 布団太鼓 太鼓台 平野区 春祭り 枕太鼓 試験曳き 羽曳野市 東大阪市 東灘区 堺市 柏原市 尼崎市 福島区 八尾市 藤井寺市 神輿 豊中市 大太鼓 入魂式 獅子舞 盆踊り 守口市 梵天太鼓 生野区 東住吉区 灘区 近鉄 西淀川区 宝塚市 鶴見区 屋台 旭区 西宮市 南大阪線 松原市 大東市 都島区 城東区 吹田市 神戸市 河内長野市 天王寺区 富田林市 芦屋市 試験担ぎ 神事 加西市 池田市 博物館 宇陀市 岸和田市 東成区 夜店 山車 滋賀県 泉南市 橿原市 やぐら 垂水区 太鼓枠 姫路市 大阪市北区 伊勢神宮 広陵町 石取祭 淡路市 京都 大和高田市 木津川市 此花区 奈良市 住吉区 曳山 中央区 淀川区 西成区 風景写真 堺市北区 小牧市 ふとん屋台 枚方市 祭車 鉄道 名古屋市東区 京都府 川西市 港区 伊丹市 三郷町 昇魂式 制動テスト だいがく 茨木市 高松探訪 だんじり 臨時列車 香川県 和歌山県 貝塚市 東淀川区 泉佐野市 浪速区 北播 四条畷市 播磨 三重県 門真市 名古屋 三木市 布団屋台 ふとん太鼓 淡路島 阪南市 大和郡山市 明石市 西区 河南町 葛城市 宇治市 京都訪問 大正区 加東市 三田市 奈良県 山鉾 住之江区 大津市 高松 やぐら(泉州) 風景 兵庫区 御輿 バス 神社 桑名市 展示物 御白石持行事 王寺町 美原区 神額 名古屋市 天理市 お木曳き 十日戎 竣工式 完成式 

ブログ内検索


全ての記事を表示する

月別アーカイブ

リンク

アクセス数