祭りの写真など

堺の布団太鼓の「べーら」という掛け声について

大阪府堺市では秋祭りの布団太鼓が盛んです。
9月から10月にかけて、秋祭りでは太鼓の音と「べーら べーら べらしょっしょ」という掛け声が町中に響き渡ります。
さて、この「べーら」という掛け声はどこからきたのでしょうか?
先日、「開口神社 八朔祭 記録作成・調査研究事業報告書」という本を読んでいると、そこに掛け声の考察が載っていました。
概要は以下です。

 江戸時代の住吉大社の神輿の掛け声は「センザイラク バンザイラク」(千歳楽 万歳楽)だった。
 のちに「千歳楽じゃ 万歳楽じゃ」となった。
 明治時代に入ると「セーラジャ バンザイラクジャ」(世楽じゃ 万歳楽じゃ)に簡略化された。
 大正時代には「セーラジャ セーラジャ」と「セーラ」を2回繰り返すようになった。
 昭和時代には「ベーラジャ ベーラショイ」となった。
 そして現行の「ベーラ ベーラ ベラショッショ」になった。

とのこと。

ちなみに「堺・布団太鼓盛衰記」は長崎の「セーランエンヤ」という掛け声が住吉にもたらされ、住吉祭から堺に広まったという説を紹介しています。
他によく知られた俗説として「べーら」は「米良」と書いて五穀豊穣を願った掛け声だという話が広く知られていますが、これは掛け声が成立したよりも後に作られた説明的な由来のような気がします。

先行研究はそんな感じです。
ここからは私も少し考えてみます。
結論から言うと、「ベーラジャ ベーラショイ」から「ベーラ ベーラ ベラショッショ」へ掛け声が移行したのは、「石山の秋の月」のしりとり唄の導入によって、堺の在来の掛け声「ベーラジャ」ともともとしりとり歌にあった掛け声「えーらほーらえらさっさ」が融合したのだと私は考えます。

まず、「センザイラク バンザイラク」の掛け声ですが、国内のある時点においては神輿を担ぐのに一般的な掛け声でした。
岡山県の布団太鼓の地域名「千歳楽」(センザイラク・センダイロク)があること。これは掛け声に由来する名称とされています。
それから現代でも神輿を担ぐ掛け声に使う地域があること。兵庫県播州の高砂神社や和歌山市の加太春日神社などでは今でも「センザイラク バンザイラク」系の掛け声で神輿渡御が行われています。
おそらくよく探せばほかにも同様の祭りの掛け声は見つかると思います。
なので「盛衰記」がいうような長崎からもたらされて住吉祭りの神輿の掛け声になったとは考えにくく、むしろ逆に畿内で生まれた掛け声が長崎へ伝わったのでしょう。

次に「ベーラジャ ベーラショイ」から「ベーラ ベーラ ベラショッショ」へと変化したのはなぜでしょうか。
そのカギを握るのは「石山の秋の月」のしりとり唄にあります。
「石山の秋の月 月に群雲花に風……」といったしりとり唄は明治時代のだんじり騒動以前にも堺で歌われていたことが、与謝野晶子の小説「住吉祭」から読み取れます。
しかしこの囃子唄は堺では一度途絶え、戦前から昭和30年ころまでは草津節が歌われていたそうです。
「堺まつりふとん太鼓連合保存会三十周年記念誌」によれば、芦原濱の布団太鼓が「石山の秋の月……」の囃子唄を歌うようになったのは、堺まつりへの参加以降、つまり昭和49年(1974年)以降のことだといいます。
「ベーラジャ ベーラショイ」から「ベーラ ベーラ ベラショッショ」へ掛け声が移行する時期と一致します。
芦原濱は百舌鳥方面で歌われていた唄を導入したといいますが、同様の歌が大阪市内から泉州一円にかけて歌われていることはよく知られた事実です。

 えーらほーらえっさのさ
 牡丹に唐獅子竹に虎 竹持って走るはまともない
 まとない御方に智恵貸そか 智恵の中山千願寺
 千願寺の御住様坊さんで ぼんさん蛸食うてへどついた

これは大正11年(1922年)に出版された「東成郡誌」に紹介されている、生野村(現在の大阪市生野区)のだんじり曳き唄です。
注目するのは最初の掛け声「えーらほーらえっさのさ」。
現代でも此花区や浪速区などの太鼓台ではこんな感じの掛け声が使われています。
リズムとしては「えーらほーらえっさのさ」と「ベーラ ベーラ ベラショッショ」は音の数やリズムが共通していますね。
つまり何が言いたいかというと、囃子唄の導入によって掛け声にリズムが生まれ、それまでの「ベーラジャ ベーラショイ」から「ベーラ ベーラ ベラショッショ」へ移行したということが考えられます。
囃子唄のリズムに引っ張られて掛け声が変化したということですね。

しかし「セーラジャ」から「ベーラジャ」に代わる段階で、どこから「べ」の音が来たのかはよくわかりませんでした。
「セーラジャ」が「センザイラクジャ」から短縮・変形したとするならば、「バンザイラクジャ」がドラゴンボールの孫悟空のモノマネ方式で変化した「ベンゼーラクジャ」から短縮して「ベーラジャ」が生まれたのでしょうか。


ところで「セーラジャ セーラジャ」という掛け声には心当たりがあります。
堺市の一部地域で行われている、盆踊りの太鼓担ぎの掛け声です。
「オセラショ ベーラショ ベラショッショ」とか「オセラジャ ベーラジャ ベラショッショ」とか。
陶器北村、上之、関茶屋、大野芝、下草尾、新家、福町上・中・下あたりがそんな掛け声だったような。
案外、この掛け声の方が古形を残しているのかもしれませんね。
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  1. 2021/11/27(土) 07:00:00|
  2. お祭りのこと
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大阪の太鼓台・だんじりの囃子唄としりとり唄

 大阪府の夏祭りや秋祭りには太鼓台(布団太鼓や枕太鼓)やだんじりあるいはやぐらが巡行します。
 地域によってはお囃子や太鼓の調子に合わせてしりとり唄が歌われています。
 「石山の秋の月~」とかそんなやつです。
 この記事ではそういったしりとり唄の歌詞のうち代表的なものを紹介します。


 囃子唄は昔は大阪市から泉州地域にかけての祭りでよく歌われていました。
 しかし今ではだんじりでは歌う所がなくなっていて、現在でもしりとり唄を聞くことができるのは大阪市、堺市、貝塚市、泉佐野市、枚方市の太鼓台の地域と、泉州南部のやぐらの地域です。
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  1. 2021/08/20(金) 22:00:00|
  2. お祭りのこと
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蓮華会・蛙飛び行事、蛙太鼓台の巡行

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↑竹林院前で待機中の蛙太鼓台と蛙男


2019年7月7日日曜日、奈良県吉野町、金峯山寺蔵王堂の蓮華会と蛙飛び行事の蛙太鼓台を見てきました。
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  1. 2020/03/30(月) 22:30:00|
  2. 奈良県
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野と樫山の秋祭り、2019年10月13日

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2019年10月13日日曜日、大阪府羽曳野市の野と樫山の秋祭りのだんじり
野は曳き唄をする南河内タイプの祭り。
樫山は泉州太鼓。

野のだんじりと多治井の神輿の丹比神社への宮入:https://youtu.be/0h5X3FLHcyc
樫山と野のだんじり交流:https://youtu.be/-ZWoTmmZxQ8
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  1. 2020/02/26(水) 05:28:47|
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萩原神社の秋祭り、2019年

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↑萩原神社に宮入しているところの初芝地区の地車

2019年10月5日と6日の土日に大阪府堺市の萩原神社の秋祭りがありました。
日置荘地域の10地区くらいからだんじりや太鼓台が出て、神社に宮入りしました。
また日曜日の朝には日置荘校区6地区パレードも行われました。
このうち主に南海高野線の西側の地区は出雲大社大阪分祠にも宮入するそうです。

出ていただんじりや子供だんじりや太鼓台
・初芝:岸和田型地車。日置荘西町2丁の初芝会館。町名は初芝住宅という住宅地から。
・日置荘西町東部:岸和田型地車。日置荘西町3丁の日置荘西町東部会館。町名は旧西村の東部の意味。
・日置荘北町:岸和田型地車。日置荘北町3丁の日置荘北町公民館。町名は旧北村から。
・東初芝:子供だんじり。日置荘北町1丁の東初芝会館。
・原寺:子供だんじり。日置荘原寺町の原寺公民館。
・萩原:4輪型子供太鼓。
 以上が6町パレード参加組

・池之浦:4輪型子供布団太鼓。日置荘西町5丁の池之浦会館。
・田中町:4輪型子供布団太鼓。
・日置荘西町西部:子供だんじり。日置荘西町6丁の日置荘西町西部会館。
・関茶屋:子供布団太鼓。関茶屋公民館。

動画は
・萩原神社秋祭りのだんじりや太鼓台 https://youtu.be/2N46OoKVTTw
・日置荘校区6町会地車パレード https://youtu.be/IagyLeKErQE
・日置荘北町のだんじり https://youtu.be/259XT_Bh8-w

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  1. 2020/01/30(木) 05:44:31|
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杭全神社の注連縄上げ、馬場町のだんじり、2020年1月3日金曜日

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2020年1月3日金曜日、大阪市平野区 杭全神社の注連縄上げ行事 馬場町の地車の曳行

動画→ https://youtu.be/ucWxGYHAH_I
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  1. 2020/01/05(日) 15:48:55|
  2. 大阪市
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大津神社の秋祭り、2019年10月8日

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10月7日と8日は羽曳野市の大津神社の秋祭りです。
2019年10月8日の様子です。

8日18時ころより氏子の向野地区のだんじりが宮入します。
宮入と言っても境内にだんじりは入らず横の駐車場に留め置いて、人だけで参拝します。
境内は夜店と参拝者でごった返していてだんじりが物理的に入れません。

また両日とも日没ころから21時ころまで境内の奥の方で高鷲不死囃子という地車囃子団体が地車囃子を奉納しています。

動画
向野のだんじりの宮入:https://youtu.be/_VWi3x5P0Gk
高鷲不死囃子の地車囃子
 1 https://youtu.be/xO7_RawZ4Pk
 2 https://youtu.be/RxQk4bPtey0 続きを読む
  1. 2019/12/25(水) 05:53:40|
  2. 南河内
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高松・福中のだんじり交流、2019年10月13日

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2019年10月13日、大阪府堺市東区の南海北野田駅付近で高松地区と福中地区の地車同士の交流が行われました。

動画→https://youtu.be/Q3yrVPAh5JQ


高松が属する登美丘地区と福中が属する陶器地区は隣接していて祭りのスタイルも地車の形もかなり似通っていますが、区が違い、所轄する警察が違い、また祭礼日も年によって被らないこともあります。

おまけは高松の萩原神社への宮入の様子です。交流会の前に行われました。
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  1. 2019/12/16(月) 06:34:45|
  2. 泉州
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2019年大阪新田盆踊りと新家町の夏祭り盆踊り

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↑宮入した下草尾の子供太鼓(14時50分ころ)

2019年8月10日土曜日、堺市東区と中区にまたがる地域で大阪新田盆踊りと新家町の夏祭りが開催されました。
それぞれ別の行事ですが、例年同日開催であり、また同様の太鼓の担ぎ方をするので今年の記事は一まとめにしてしまいます。

大阪新田盆踊り
会場:出雲大社大阪分祠
参加町会:下草尾、関茶屋(以上堺市東区)、大野芝(堺市中区)
スケジュール:
 15時ころまでに各町会の子供太鼓宮入・太鼓吊り
 午後から各町会の大太鼓巡行
 18時から20時にかけて3町会の大太鼓の宮入と太鼓吊り
  2019年の宮入順は大野芝、下草尾、関茶屋
 20時頃から盆踊り
 22時前ころから太鼓撤収、一部の町会は担いで帰る
2018年の記事:http://hatotetsu.blog89.fc2.com/blog-entry-1456.html

新家町の夏祭り
会場:新家町グラウンド
参加町会:新家町(堺市中区)
スケジュール:
 16時前に新家町会館を太鼓出発、町内巡行
 17時半頃、会場で太鼓吊り
2018年の記事:http://hatotetsu.blog89.fc2.com/blog-entry-1458.html 続きを読む
  1. 2019/11/30(土) 05:50:04|
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榎の布団太鼓の宮出、2019年9月16日

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2019年9月16日月曜日祝日、大阪府堺市の方違神社の秋祭り3日目、榎の布団太鼓の宮出の様子です。
宮出は13時と案内されていましたが、担ぎ始めたのはだいたい12時半で、神社から出たのが13時でした。

動画→ https://youtu.be/Tt7-w3Lv9GM

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  1. 2019/10/29(火) 06:30:05|
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